バレンタインデー。それは戦争のようなものだ。
大好きなあの人にチョコレートを贈るため、世の女の子はいろいろ悩むのである。
私もその中の一人。アーサーは甘いもの好きだろうか?
『日本では女性が男性にチョコレートを送るのが一般的なんですよ。』
菊がそう言っていたのを思い出して、俺は悩んでいた。
俺たちの地域では、男性が女性に贈り物をする。
菊の妹であるに何か渡したいと思っていたのに・・・。
いやそもそも迷惑だろうな。俺が一方的に好きなだけだし、
はもう自分の大切な人にチョコレートを用意してしまったかもしれない。
菊に相談するわけにもいかない。どうすればいいだろう・・・。
アーサーは薔薇が好きだったよね。薔薇の模様が描いてあるのも可愛いかな・・・。
それとも普通に買うより手作りのほうが愛を感じる?
あー!完全に私の片想いなのに何こんなに舞い上がっているんだろう。恥ずかしい!
告白とかできるかな・・・。それ以前にもらってくれるかな?
「薔薇の花束を。」
「かしこまりました。」
散々考えた結果、が俺のためにチョコレートなど用意するわけがないと結論づけた。
でも、贈り物するくらいならバチ当たらないだろうと思い、花屋に足を運んだ。
つい癖で薔薇頼んじまったが・・・は薔薇好きだろうか?
アーサーに電話をしようと思う。あっちにも予定があるだろうし・・・。
最悪チョコレートは私のお腹の中かもしれないな・・・。
「よーし!」
花束を買ってしまった。でも、考えたら14日に渡せるわけないよな。は本命で忙しいだろうし。
どうするか。明日か?明後日か?とにかく買ってしまった以上、枯れる前に渡したい。
「ん?」
携帯が鳴っている。誰だろう?
何気なくディスプレイを見る(髭だったらシカトだな)。
「・・・!?」
「もしもし!?どうした?」
「アーサー!あの、ちょっと渡したいものがあるんだけど・・・あとでお邪魔してもいいかな?」
「渡したいもの?」
「う、うん。大したものじゃないんだけど。」
「じゃあ俺がそっちへ行くよ。」
「アーサー忙しいんじゃないの?」
「ぜんぜん。今仕事が終わったところだ。」
「でも・・・」
「いいから!寒い中女性を出歩かせるわけにはいかねーからな。いいか?今すぐに行くから、動くんじゃねーぞ?」
「え、あ、」
「じゃあな!」
「アーサー!!!!」
切られてしまった。でも・・・アーサーが来てくれる。私のために?
勢い余って切ってしまった。渡したいものって?まさか・・・うぬぼれてもいいのか?
いやまさかな。でも花束は渡せそうだ。よかった。
家のベルが鳴った。きっとアーサーだ!
「兄さん、私が出る!」
「はいはい。私は自分の部屋に退散しますから。ごゆっくり。」
「――――――もうっ!」
ドアが開いた。ドタドタと足音がしたので、走ってきたということはすぐにわかった。
申し訳なさそうに眉を下げた。やっぱり好きだよ。お前のそういうとこ。
「アーサー!いらっしゃい。ごめんね。寒かったでしょ。やっぱり私が、」
「ハッピーバレンタイン。」
わけがわからなかった。玄関にアーサーが立っていて、すごく寒そうで。
早くあったかい所にって思ったら、私の目の前には薔薇の花束。
「俺の国では、男が贈り物をするんだ。その、大切な人に。」
「・・・!」
「お前に本命がいるかもって思ったんだが・・・やっぱり男としてこういうのはきちんと・・・」
「私、アーサーのことが好きです。」
「わかった。潔く諦め・・・え?」
「ちょっとここで待ってて!」
は玄関に俺を立たせ、薔薇の花束を大事そうに抱えながら奥へ走って行った。
「今、好きって言ったのか?」
「アーサー!はぁ、はぁ。これ!」
「・・・?チョコレート?」
「に、ほんでは、女の子が好きな男の子に渡すんだよ!」
「これ、俺に?」
「うん。大本命!!!」
がにっこり笑った。
綺麗にラッピングしてあるチョコレートの箱には、俺が大好きな薔薇のシールが貼ってあった。
「ありがとう。本当にありがとう。」
アーサーがすごく嬉しそうに笑った。優しい笑顔。私、アーサーのそういうとこが好き。
もちろん素直じゃないとこも、怒った顔も好きだけどね。
「そこにいたら寒いでしょ?さ!入って!」
「あぁ。でもその前に。」
「ん?」
危ない危ない。の告白を無視するところだった。
「俺も、が好きだ」
「ありがとう。アーサー!」
大好きだ。好きで好きで仕方ない。
後で苦しくなるくらい抱きしめて、たくさんキスしよう。
きっとの顔、真っ赤になるんだろうな。
Happy Happy Valentine!
(20100215)
バレンタイン忘れた!と思って1日で殴り書きしたもの。
|
|