「ギル、昨日嫌な夢見たんだけど・・・」
「ははっ!だせーな!怖いやつか?」



ギルはよしよしと子どもをあやすように私の頭を撫でた。 ギルの手が好きだ。笑ったときのにっこりな目も、 まだ一回しか見たことがない怒った目も、ちょっとナルシストなとこも全部。 いつも一人と言ってはいるけど、正直狙っている子はたくさんいると思う。 見た目かっこいいし。



「ある意味怖い奴。ギルがね、エリザとどっか行っちゃう夢。」
「俺とあいつが?」



いくら夢だと言っても、楽しそうに手をつないでるとこを見てしまえばショックを受けるよね・・・。 っていうか、「あいつ」扱いですか。親しいもんね。幼馴染的な位置だよね。



「・・・っ・・・くく」
「・・・なっ!」
「笑うことないじゃん!」
「いや、ありえねぇこと言うからついな。」



ギルにとってはくだらないことなんだろうなあ。 私にとっては大問題なのに。大体十分ありえることでしょ。 この二人が一緒にいたら・・・やっぱり素敵。



「ベストカップルだよ・・・」
「俺たちが?」
「違うよ。ギルとエリザ」
「はあ?お前、あいつと俺に付き合ってほしいの?」
「嫌に決まってるじゃん。ただエリザかわいいし、ギルかっこいいし、 なんか二人でいたら絵になるなーとか思っただけ。」
「俺がかっこいいのは否定しないけどな!」
「ばーか。あーあ。エリザみたいに生まれてきたかったなー。スタイルいいし、性格いいし。」
「何言ってんだよ。俺、 があいつだったら付き合わねーぞ」
「うそつけ!」
「マジだって!あいつはな〜ちょっと細すぎるな。それに嫌だぜあんな鬼。 やっぱ女はちょっとふっくらしてたほうがいい。 そんでもって、ちょっと鈍臭くて、道ですぐつまずくやつ。」
「それって・・・」



全部私のことじゃん。ったく、どーでもいいとこばっかりよく観察してんだから! どうやらギルは私よりも私を知っているらしい。ちょっと悔しい。 私ももっとギルのこと知りたいのに。



「もう!嫌味でしょ!」
「なんでそんなに怒ってんだよ〜」
「怒ってない!!!」
「んじゃ、なんだ?やきもちか!」



ギルがにやにやして私に言ってきた。



「違うっ!」
「へへっ可愛いとこあるじゃねーか!」
「だから違うってば」
「じゃあなんだよ?」
「・・・うぅ」



やきもちだけど。それ認めたらギルは調子乗る。 ギルを軽くにらむと、笑って口を開いた。



「よかった」
「な!何がいいの」
「俺の一方通行じゃなかったってわけだなー。お前も俺のこと好きでいてくれてんだろ?」
「そっそんなの当たり前じゃん!むしろ私のほうが心配だよ。」
「何でだよ?」
「ギルがエリザに心変わりするかもでしょ!」



いつ私の前から去ってしまうか心配で。いつ冷たい目で見られるか怖くて。 今とても幸せだけど、やっぱりその分不安がたくさん。 それにエリザは女の私から見てもすごく素敵な女の子だし、 あんな子と張りあえって言われたって無理。



「心変わりなんてしねーよ」
「ギルは優しいんだね」
「棒読みすぎじゃね?本当だって。信じろよ」
「どーだか」
「・・・・じゃあ今から証明する。」
「は!?」



私を置いて走って行ったと思ったら、物の数分でエリザを連れてきた。



「ちょ!なんなのよこの馬鹿!!」
「うるせーな男女!俺だって関わりたくねーよ!お前からも説明しろよな!」
「わけわからないんだけど。説明って何をよ!!」 「エリザ!!!」
!どうにかしてよこいつ!」
「ごめん;」



おいおいなんでこんな状態になってるの!? 今までしんみりした感じだったのに!ってかなんでエリザ連れてくるのよ! やっぱり美男美女だよくそうっ!



「いいか 、ちゃんと聞いてろよ!」
「え、ちょ」



俺はこいつは好きじゃねえええええ!!! が好きだあああああああああ!!! じゃなきゃ駄目ああああああ!!!
わかってるわよ馬鹿!!!!!!



どこから出したのか、エリザの手にはフライパン。 ギルはぐはっといううめき声をあげてその場に倒れた。 今のはギルが悪い。いきなりエリザの耳元で叫んだんだから。



「あーあ・・・。ごめんエリザ。びっくりしたでしょ?」
「どこまで馬鹿なのこいつ!まったく何を言うかと思えば。私だって好きじゃないわよ! はよくこんな奴と付き合ってられるわね。」
「あはは。でもエリザは昔から仲良し・・・なんだよね?」
「仲良し!?吐き気がするわ!・・・あ!もしかしてなんか勘違いしてた!?(やだ 可愛い・・・!説明しろってこういうことね。)」
「ちょっとだけ。エリザ可愛いしさ。」
「何言ってるのよ〜!嬉しいけど!でもほら、私にはローデリヒさんっていう愛する人いるし。」
「そ、そうだったの!?」
「そ。こいつは大っ嫌いだけど、 のことは大好きだから、いろいろ相談に乗るわよ。 こいつのこと多少は知ってるし。今度不安になったらこんなやつじゃなくて私に相談してね。」
「・・・うん!」



ギルが私のために叫んでくれたのはすごく嬉しかった。 そしてエリザに恋人がいたということに、少し安心した。



Vanish!



(「・・・うう、ー、好き、だ。」)
(「わかる?うめくぐらいのこと好きなのよ。この馬鹿。」)







































(20100316)
Vanish!=消えろ!不安よ消えろ!みたいな感じで。さりげなく墺洪を取り入れてみました。