Fry high!!
「俺たち、卒業したらどうなるんやろか?」
アントーニョがつぶやいた。
今日は先輩たちの卒業式だった。天気がとてもよくて、暖かい日だった。
2年生にはあまり関係のないことだが、余韻に浸っているのか何なのか・・・。
「卒業」。なぜ今そんなことを考えているのか、ギルベルトとフランシス、そしては不思議に思った。
4人が卒業するのは1年後で、まだまだ悩む時期ではない。
「どうしちゃったわけ?」
「アントーニョ、たまに変なこと言うよね。」
「あと1年もあるじゃねーか」
「せやな!親分ちょっと浸ってしまったんやなー!」
アントーニョに切り返しに、3人は何も考えず笑った。
しかし、少し寂しそうな顔をしたのをは見逃さなかった。
何を思ってるんだろう?なんでそんな寂しそうな顔をするんだろう?
は、アントーニョの普段の笑顔を思い出す。
不安なのかな?何に?卒業に?進路に?・・・友情に?
は、あと1年の学校生活を、もやもやしたまま過ごしてほしくないと思った。
「このあと用事ある人ー!」
「ないよー」
「ないでー」
「みんな大丈夫ぶだぜ!」
「じゃあフランシスの家に集合!!」
「えー!なんでお兄さんの家!?」
「一番広いから。」
「・・・わかったよもー!」
フランシスが渋々了承すると、3人は一旦、それぞれの家へ帰って行った。
※ ※ ※
「まだ来ないのかよー!」
「やっぱ華がないと駄目やんなー。」
「はいはい。もうちょっと待ってろよな。」
一番最初にフランシスの家に着いたギルベルト、そして次に着いたアントーニョは、不満を漏らしていた。
もちろん本心ではないけれど。フランシスはやれやれと思い、自分で作ったお菓子を出して落ち着かせる。
何分かすると、家のチャイムが鳴った。
「!」
「や!」
「だね。」
フランシスが家へ招き入れる。遅くなってごめん。と言ったは箱を持っていた。
「おーまーえー!遅いぞ!」
「ごめんごめん。」
「それよりその箱何?」
「あ、これ?」
箱を開けると、たくさんのピースが入っている。が持ってきたのは、ジグソーパズルだった。
「ほー!ジグソーパズルなんて見たんも久しぶりや!」
「さっそくやろうぜ!!暇だし!!」
「おいおい、高2がジグソーパズルって・・・。まぁいいか。」
青や水色がたくさんあるということは、空かなにかの風景だろう。めったにやらないこともあり、
4人は黙々と作業をした。すると、その沈黙を破りが話し始めた。
「私さ、中学生の時、不登校だったじゃない。」
「あーそんなこと言ってたっけ。」
「うん。でね、高校も正直行きたくなくて不登校になりかけたんだけど・・・
ほら、ギルが話しかけてきて・・・」
「そうだったっけ?」
「あーそういえば・・・ほら、ギルが昼食代忘れたとき。」
「お前らお金貸してくれねーんだもん」
「普通だったらそれで終わりなのに、その後も孤立してた私に話しかけてくれたし。
今まで興味本位で話しかけてくる奴ばっかりで、ぜんぜん信用できなかったのに、
フランシスもアントーニョも嫌な顔せずに一緒にいてくれたでしょ。
私ね、言い表せないくらい嬉しかった。」
「・・・」
「まぁ、あんたたちも最初は信用してなかったけどね。」
「そりゃないでーってあ!角っこ発見!!」
「不安で不安でしかたなかったの。友達って言っても男と女だし。」
「その話、お兄さん嫌ーい。」
「そーいえばそれで喧嘩にもなったよね。よし!はまった!」
「あんときどうしようかと思ったでー。フランシス本気で怒るんやもん!ギルのあせり方も半端なかったし。」
「あれはまじで怖かったんだよ!それとって。」
「はーい。でも、フランシスが私のこと考えてくれてたんだなって思ってすごく嬉しかった。」
「恥ずかしいからやめてよ!あ、これここじゃない?」
アントーニョとが言い争ったりしたこともあったし、時には2対2で対立したこともあった。
の学校生活は、3人なしではありえなかった。辛いときも、楽しいときも、そこには絶対に3人がいた。
逆に3人もはかけがえのない存在になっていた。
フランシスとアントーニョはがクラスで孤立しているのが気になっていた。でも踏み出せなかった。
その踏み出せなかった一歩を踏み出したのがギルベルトだった。ギルベルトは気を使うことなく他人と付き合える。
気を使わず土足で踏み込んだのがにはよかったのかもしれない。
「悪い!昼代貸して!」と両手を合わせて懇願するギルベルトの姿を、は一生忘れないだろう。
「アントーニョがさ、卒業したらどうなるんやろって言ってたでしょ?」
「せやったけー?」
「覚えてるくせに!」
「不安になってるなら、ちゃんと言って。」
「・・・不安なんてあらへんで〜」
「嘘つけ!ちょっと聞いて。私の中ね、最初真っ黒だったの。」
「真っ黒?」
喜びも悲しみもない、ただ黒い世界。何もない世界。は、自分がそこにずっといるのだろうと思っていた。
何も考えないのはすごく楽だった、すべての感情を閉ざして、ずっとその暗闇にいるはずだった。
「でも3人がいたおかげで、どんどん色がついたの。ジグソーパズル組み立てるみたいに、少しずつ。
そんで綺麗な色に変っていったんだよ。
今、アントーニョのどこかが真っ黒だったら、今度は私が埋めてあげたい。」
「それお兄さんものっちゃう!」
「俺もー!っつかアントーニョ今さら何が不安なわけ?」
「私たち信じられない?」
「信じ、られないわけないやん!もー!アホ!クサイ!クサすぎて涙出てくるわ!」
「ばーか」
「おっ!完成ー!」
「すごい綺麗だな。」
「青い空や!」
「青ばっかで難しかったぜー腹減った!」
「またお金貸してあげよっかー?」
アントーニョは完成したジグソーパズルを見て、3人とは一生付き合っていくのだろうなと思った。
自分が抱えていたもの、それは何がどう不安かもわからない、ただ漠然とした不安だった。
3人もそれとなく不安はあるだろう。でも、今を楽しく生きているのだ。これからもそうしていくだろう。
これからどう生きていくのか、何をするのか。そんな不安、今はどうでもいい気がした。
今を生きる。それが自分の選ぶ道だと、アントーニョは自分なりの答えを見つけたのだった。
「、フランシス、ギルベルト」
「「「何?」」」
「ありがとうな」
俺たちがこれからどうなるかなんて、誰にもわかるわけないんだ。
でも、4人いれば誰よりも高く飛べる気がした。
(20100320)
青臭ーい悪友目指して。くさいくさい吐きそう!でも嫌いじゃないです私は。すいません。
空のジグソーパズルが出てきますが、背景のジグソーパズルって海ですたぶん。すいません。
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