今日はそう。たまたまいつもより早く目が覚めた。
つい先日、菊が「早起きは三紋の得」と教えてくれた。日本の有名なコトワザって言うらしい。
要するに早起きすると良いことがあるということだ。
確かに、今日は朝から珍しく雨も降っていないし、
朝いれた紅茶には茶柱(日本ではかなり縁起が良いらしい。)が立ったし、
バラの花は心なしかいつもより綺麗に見えた。今日はすごく良い日になるという期待をせずにはいられなかった。
今日は世界会議の日だった。家を出るには早かったが、とくにする事もない。
まぁせっかく早起きしたんだし・・・。
「じゃ、行って来るな」
妖精にあいさつをし、早めに家を出た。
※ ※ ※ ※
―――――――――――――――――――やはり俺が一番だった。そして暇だ。
正直、騒がしくて考えもまとめられない奴ら(俺も人のこと言えないが)との会議のことはあんまり考えたくない。
そういう思いから、会議室には入らず、窓から空を眺めた。
帰りもこのまま晴れているだろうか。出来れば久々に綺麗な夕焼けが見たい。
「あれ?アーサー!おはよう!」
ぼーっとしていた俺を呼ぶ声がした。驚いたことに、声の主はだった。あいつにしては随分早いな。
が手を振りながら俺に駆け寄って来たので、軽く手を挙げ返事を返す。
「おはよう。。」
「会議室、入らないの?」
「あ、えーっとな、今入ろうとしてたところだ。」
そう。と言ってが扉を開けようとしたので、俺はあわててその手を止めた。
「どうしたの?」
「いや、レディーに開けさせたら失礼だろ。」
「さすが英国紳士!」
「まあなっ!さぁ、どうぞ。」
「ありがとう。」
はにっこりと笑って会議室に入った。後を追うように俺も入る。
やっぱり今日はついている。朝からと二人きりになれるなんて。
「えーと、・・・あ!」
「どうした?」
「私、今日アーサーの隣だよ!」
「・・・本当か!?」
「うん!」
運が良すぎる。二人きりになれたあげく、席が隣だなんて。
そのまま立っていても仕方ないので、俺たちは腰を下ろした。
だが気まずい。何か話さなければ。につまらない男と思ってほしくはない。
「アーサーはいつも来るの早いね」
口火を切ったのはだった。私、いつもギリギリだから。と付け加え、は苦笑した。
「そうか?でも今日は特別早かったんだ。目が覚めちまってな」
「私も今日はたまたま。誰もいないと思ってたから、会議まで何して過ごそうかなーって思ってて。
アーサーがいてよかった!」
「そ、そうか!?」
顔が熱くなるのを感じた。嬉しいことを言ってくれる。
しかもも偶然早く起きたなんて、運命を感じざるを得ない。とか思ってしまう俺はかなり気持悪い。
いつもより距離が近いせいかの香水の香りがほのかに鼻をかすた。
とても良い香りで、クラクラした。
「俺もラッキーだと思ってる。」
「え!」
珍しく素直に言葉を発っすることができた。
の言動から言って、きっと俺のことを嫌いではないだろう。
・・・たぶん。いつもはネガティブ思考な俺だが、今日に限ってはポジティブになれる。
コトワザの効力だろうか?
いつも思ったことは恥ずかしくて口に出せない。でも、今日は少しだけ勇気を出すことにした。
「なぁ、今日会議終わった後、暇か?」
「え!あ、うん!暇。すごく暇!」
「じゃあ、一緒に食事でもどうk「グッモーニン!!!!お兄さんだよ〜。・・・あれ?もしかしたらお邪魔だった!?」
「・・・よし、地獄へ落ちろ」
「えぇ!?」
タイミングが良いんだか悪いんだか、(いや、悪いに決まっている。)
フランシスが会議室に入ってきた。沸々怒りが込み上げる。だがの前だ。
いつもみたいに取っ組み合いの喧嘩は駄目だ。女性の前ではあくまでも紳士。俺は英国紳士。
そう自分に言い聞かせ、いきなり乱入してきた髭野郎を会議室から押し出そうと
ドアのところまで引っ張って行く。
「いい雰囲気だったじゃーん」
「うるせぇ!わかってんなら出てけよこの髭!」
いくら『早起きは三紋の得』でも、やはり良いことばかりではないらしい。
俺は髭野郎に聞こえるようにため息をついた。
「ため息つかないー!せっかくお兄さん応援してあげようと思ったのになぁー」
「はぁ?意味わかんねえうせろ死ね」
「ちょ、ひどくない!?いい情報があるのに。もちろんか・ん・け・い!」
ニヨニヨ笑った顔がものすごくむかついたが、の情報は聞きたい。
たとえこの髭野郎からであったとしても。
「なんだよ。さっさと言え」
「あせんなって!まず、は結構グルメです。だからお前の料理は絶対出すなよ〜」
「・・・ちっ」
「・・・怖いから睨まない。舌打ちしない。あとは喧嘩や気まずい空気が嫌いです。」
「それだけだったら殺す」
「もー!あせんなよ。まだあるって。」
「これ以上焦らしたら殺す」
「はいはい。あのね、紅茶が大好き。」
「・・・!」
「本場の紅茶を飲んでみたいって、俺と話してたときに言ったんだぜ?
この俺と話してたのに紅茶の話だなんてなー。もーお兄さん妬けちゃう!」
「本当か?」
「本当。しかもイギリスの煎れた紅茶が飲みたいってさ〜」
「俺の・・・紅茶・・・?」
「そ!だから誘ってあげなよ!絶対断らないと思うなー。」
じゃ、頑張ってね。
と、フランスは語尾にハートマークをつけて(絶対ついてた)、ニヨニヨしながら出て行った。
が俺がいれた紅茶が飲みたい?夢のような話だ。食事の後、家に誘ってみるか?
いや、でも俺は紳士だ。恋人同士でもあるまいし、女性を夜に呼ぶなんて紳士としてどうだろう。
でも、俺は紳士である前に、一人の男だ。
「フランシスどうしたの?」
「忘れ物したって。」
「馬鹿だなぁー」
「あの、さっきの話だが、」
「あ、食事?」
「あぁ。その後、俺の家で紅茶でも飲まないか?い、いや別に嫌ならいいんだ。また今度誘うし」
「行く!」
「本当か!?」
「行くに決まってるよ!私、アーサーのこともっと知りたい。」
それに、美味しい紅茶も飲みたいし。と言っては笑った。
あぁ神様、女神様、 女王陛下様!
(それに日本のコトワザ!ありがとう!!)
(20100423)
英を幸せにたかったのと、お兄さんを乱用したかっただけです。←
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