今日、アーサーさんとお茶会の約束をしました。何度目かはもうわかりません。 でも、今日は勝手が違います。 いつもは菊兄と一緒にアーサーをお出迎えするのですが、 『明日、いつもより少し早く行く。悪いんだが、玄関まではお前1人で来てくれるか?』 と、昨日、アーサーさんは何やら神妙な顔つきで私にそう言いました。 それを菊兄さんに伝えると、妙に納得したような顔をして『じゃあ先に茶の間へ行っていますね。』 と奥の部屋に入ってしまいました。


いつもは呼び鈴を聞いてから玄関へ行くのに、どうしても気になってしまって、 結局今、私は玄関の前に座っている状態。もし「もう来れない」とか言われたらどうしましょう。 でもそんなことアーサーが言うはずないと思うのですが・・・。 だって楽しそうにしていたし・・・無理してたのでしょうか?実は嫌だったとか? 1人だと悪いほうにばかり考えてしまいます。





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アーサーさんが好き。そんな私に協力してくれたのが何を隠そう菊兄さんでした。 お茶会での出会いは、巧妙に仕組まれたものだったのです。 アーサーさんを一番初めに見たのは、会議が終わった菊兄さんを初めて迎えに行ったとき。 たぶんアーサーさんは覚えていないでしょう。 会議をしているところへは、初めて行ったということもあって、 私は菊兄さんを探すのに戸惑っていました。なかなか見つけられなくて、 前を見ずに歩いていたら、案の定、私は人にぶつかってしまいました。



「す、すいません。」
「いや、俺こそすまない。ちょっと急いでてな。」



ぶつかった彼は、アーサーさんでした。 アーサーさんは、怪我はないか?と言って私の手をとり簡単に持ち上げました。 私、少なくとも菊兄さんより重たいのに。(何考えていたんだろう私。) でも、アーサーの視線は持っていた資料にありました。資料を見ながら歩くほど急いでいたのでしょう。



「本当に悪かった。じゃあ急いでいるので失礼。」



足早にその場をさったアーサーさんに私は見とれてしまいました。 菊兄さんと家に帰るときも、アーサーさんのことばかり考えていました。 菊兄さんはすぐに私の異変に気付いて、私がアーサーを好きだとわかった途端、 お茶会をするとアーサーさんを家に招待しました。 もし菊兄さんがいなければ、私はただ見ているだけだったでしょう。 兄には多大なる感謝の気持ちでいっぱいです。 それからは、お茶会が毎回楽しみで仕方ありませんでした。 見るだけでもよかったのに、話まで出来るようになって。本当に幸せだった・・・のに。



「はぁ」



口から出るのはため息ばかり。



『このスコーンなら毎日食べたい』
アーサーが最初に私のスコーンを食べたとき言った言葉・・・。 嬉しすぎてなんて返したかは忘れたけれど、 アーサーさんの紅茶なら一生飲みたいです。のようなものすごく恥ずかしいことを言った気がします。 あぁ、恥ずかしい。でも、その日を境に、お菓子を作ることが一気に楽しくなりました。 それから毎回、私はアーサーに次はどんなお菓子がいいかと聞くようになって・・・。 アーサーさんは基本的に答えてくれましたが、たまになんでもいいぞ。と答えます。 そのときは決まってスコーンを作ることにしていました。 あなたが初めて美味しいと言ってくれたもの。私の中でスコーンは幸せな思い出の一部ですから。 たぶんアーサーさんは初めて食べたのがスコーンだったということも、 何気なく言った言葉が私をどんなに幸せにしたかも覚えていないでしょう。 涙が出そうになりました。アーサーさんが来るんだから、と無理やり引っ込めてみるけれど、やっぱり悲しい。





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悪いことばかりがぐるぐると頭を回っていたそのとき、ドアのベルが鳴りました。 私はすぐにドアを開けると、そこには大好きなアーサーさんの姿。



「っ!?やけに出るの早くないか?」
「玄関で待っていたんです。さ、どうぞ。」



そう言ってアーサーさんを促したが、その場に立ったままでした。 不安な気持ちが、胸一杯に広がりました。やっぱり、もう来なくなってしまうのでしょうか・・・



「おい、
「はい?何でしょう?」



もうすでに泣きそうだったが必死に堪えて笑顔を作りました。 アーサーさんを困らせたくないですから。



「あの、こういうことは初めにお前の兄である菊に言うべきかなとか思ったんだが、 考えたら順序的にはお前だよなとか思ってだな・・・だからその・・・」



そういえば、アーサーさんはずっと手を後ろにやっています。何を持っているのでしょうか? 何か赤いものが見えます。



「迷惑かもしれないが、これ。」



アーサーさんが差し出したのは、いっぱいの薔薇の花束でした。



「私に・・・?」
「そうだ。あのだな、俺はその、」



アーサーさんの顔は真っ赤で、それを見たら私まで恥ずかしくなってきてしまいました。 薔薇。薔薇の花束。それも私の腕いっぱいの。 とてつもない幸福感でいっぱいでした。 ふと薔薇から視線をアーサーさんに移すと、大きく息を吸い込む音がしました。



、お前のことが好きだ。つ、付き合ってくれないか?」



言い切ったアーサーさんは心配そうに、でも決してその凛々しい顔を崩さず、私を見つめました。 答えなんて、決まってます。



薔薇の花束を手に


(あなたのことが大好きです)







































(20100608)
無駄に長くてすいません。