ショートケーキの苺程、魅惑なものはないと思う。
白の上に映える瑞々しい赤。苺自体ものすごく好きで、
たぶん朝昼晩、苺でも死にはしないと思うくらい愛情は持っている。
「ショートケーキのいちご、先に食べる?後に食べる?」
向かい合って一緒にショートケーキを食べているギルベルトに質問をする。
私はギルのことが好きだった。ずっと前から好きだった。
こうやってお茶をするだけで幸せで、この関係を壊したくなくて告白出来ずにいる。
そんなこと知らないギルは、珍しく私が大好きな、苺のショートケーキを買ってきてくれた。
すごく嬉しくて抱きついたら、ぐちゃぐちゃになるだろって少し怒られた。
「んー?先だろ!」
「どうして!?」
私は、好きなものは後に取っておくタイプだった。先に食べてしまうと、損した気分になるから。
「だって、なくなったら嫌だろ。大事に取っておいてなくなったら悲しさ倍増だぜ!」
「そうかなあ・・・」
ギルが言っていることは正しいと思う。
別になんの脈絡もなく始めた今の話が、好きな人に中々告白できない
今の状況に似ていて苦笑してしまった。
「じゃあ、先に食べることにする。」
「別に人それぞれだろ?」
「いいの。あと、先に言うことにする。」
「は?」
私は不思議そうな顔をするギルを尻目に、苺を口に運んだ。先に食べたのは初めてだった。
ゆっくり咀嚼し、飲み込む。すっぱいような甘いような曖昧な感覚。
口の中は曖昧だけど、私の気持ちは決まっていた。
誰よりも先に。あなたと誰かが恋人になる前に。
「ギル、私ね、ギルのことが好き」
ギルは驚いたのか、ぶっと吹き出した。
私の言葉を理解し少し考えた後、ニカッと笑った。
「俺も!」
私はと言うと、急に何かがこみ上げてきて、目からボロボロと涙が出てきた。
「うでしい・・・」
「しゃべれてねーし。不細工!」
「ひどいよぉー!本当にうでしいんだがら!!」
「苺よりも好きか?」
「苺よりも好き。」
ギルは私の頭をそっと撫でてくれた。
、と呼びかけられたので上を向くと、そこにはドアップのギルの顔があった。
ファーストキスは苺味
(20101123)
私は好きなものは後に取っておくタイプです。(聞いてない)
|
|