ドボンッ






効果音はまさにそれ。私はたった今、崖から飛び降りた。






青に堕ちる







好きな人に振られた。大好きで大好きで仕方なかった。尽くしたはずだった。 でも、他に好きな人が出来たと言って離れていった。つまり、浮気だった。 私は問い詰めることもできず、殴ることもできず、ただ泣いて逃げてしまった。 自分の腑甲斐なさに苛ついて、それ以上に悲しくて、もうどうでもよくなった。 飛び込んだら楽になるかな、そんな軽い気持ちだった。






私の視界には青、蒼、碧。見事なコントラストに見惚れつつ、どんどん沈み、堕ちて行く。 そろそろ苦しくなってきた。あぁ、たぶん、私は死ぬのだろう。そう、ぼんやりと思ったとき、






ドボンッ






虚ろになった神経の端で、私以外にもうひとつ、何かが飛び込んだ音がした。 堕ちてくる陰。その陰は私を抱きしめ、引き上げた。






「げほっごほっはぁ、はぁ」
「ごほっはぁ、はぁ、大丈夫?なんで飛び込みなんて・・・」






美しいブロンドの髪、海と同じ真っ青な瞳。私を助けた男は、まるで海に祝福されているかのように輝いていた。






「な、んで、ごほっ助けたのよ」
「なんでって・・・お兄さんのドーヴァー海峡に死体なんて嫌だなーって」
「な、に、言ってるの!!?」






馬鹿みたい。ここで誰が死のうと関係ないじゃない。 あのまま堕ちれば、私は死んだだろう。なのに、なのにこの男は・・・






「それと、飛び込んだ君が人魚みたいに綺麗だったから・・・人魚は泳げるか。」






本当に、馬鹿みたい。照りつける太陽を浴び、微笑んだ彼は更に輝く。 今の私にはその微笑みが眩しすぎて、何故だか涙が零れた。





私は、恋をしたかもしれない。















































































(20101124)
恋の始まりを書くのも好きです。