小さいときから人には見えないものが見えた。幽霊、妖精、妖怪、エトセトラ。
周りからは嫌悪する目を向けられた。でも、私はこの能力を心の底から嫌いになることは出来なかった。
人とは違う世界。
人とは違う生き方。
人とは違う能力。
隠そうとしないからか、私には友達は1人もいなかった。
両親には迷惑を掛けたくなかったので、今は学生寮に住んでいる。
クラスメイトにとって、私は空気と同じだった。当たり前だ。
自分達と違うものを認めるのには、相当な勇気が必要なのだから。
「ねぇ、また1人でぶつぶつ言ってるよ」
「庭が綺麗だっていうから来たのに・・・」
「また今度にしようよ。」
学校の隅にある庭。ここは私の憩いの場だった。何故だかここには妖精達が集まって来るのだ。
『、大丈夫?』
「うん。ふふ、聞こえてないと思ってるのかな、あの子たち。」
『僕達のせいで・・・ごめんね。』
「何言ってるの?あなた達は私の唯一の友達なんだから。気にしないで。慣れているもの。」
妖精達を撫でてやると、嬉しそうに私の周りを飛び回った。
私には人間の友達はいない。けれど、妖精の友達がいる。妖精の友達は、私の生きる糧だった。
「・・・お前、そこで何してる?」
「生徒、会長・・・?」
妖精達と話していると、突然目の前に現れた生徒会長。名前は知らない。
向けられたのは不信に思っているであろう眼差し。
今までの会話、相手にとっては独り言を一部始終見て、不信に思わないはずないだろう。
黙っていれば、気味が悪くなって何処かへ行くだろう。いつものことだ。いつもの通りやりすごそう。
「何してると聞いているんだが?」
「・・・」
「だんまりか?」
『アーサー!をいじめないで!』
「・・・?お前、こいつらが見えるのか!?」
私は黙ってうなずいた。というより、言葉が出なかったのでそうせざるを得なかった。
生徒会長にも、この子達が見えているのだろうか?
「その、会長も見えるんですか・・・?」
「あぁ。お前みたいなやつ、初めてだ。」
会長が笑った。口は綺麗なカーブを描き、瞳は本当に嬉しそうに細められた。
両親以外で私に微笑んでくれた人間は、会長が初めてだった。
「あれ?・・・あれ?」
「おい、どうした?」
「私、その、両親以外の人に笑ってもらえたの初めてで・・・嬉しくなっちゃって。すいません。」
「お前・・・」
気が付いたら、私の目からは涙がポロポロと零れていた。
中々止まらない涙を何とか止めようと努力するが、上手くいかない。涙を流すことには慣れてなかった。
「馬鹿だな。」
「え?」
会長は中々泣き止まない私をあやすかのように抱きしめた。
「辛かったんだろ、お前。気が済むまで泣けよ。俺が一緒にいるから。」
「会長・・・」
「べ、別にお前の為じゃねーぞ。このままにしといたら俺の評判が悪くなるからであってな・・・」
そう言って私の背中をポンポンと叩いてくれた。私は何年か振りに大きな声を出して泣いた。
会長にぎゅっと抱きついて、誰かに気付いてほしいみたいに。
会長は黙って私を抱きしめ続けていてくれた。
零れる涙を受け止めて
(「アーサー・カークランド。アーサーでいい。お前は?」)
(「、です。」)
(「じゃあ、今度俺の家に来いよ。もっと沢山妖精がいるぞ?」)
(20101127)
人にわかってもらえるのってすごく嬉しいことだと思います。
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