最近兄さんがおかしい。
今までずっと家にいて、うるさく俺やイタリアに突っ掛かって、高笑いして、
オーストリアに怒られていたのに、
土日は必ずと言っていいほどお洒落をして出て行くようになった。
不思議に思った。何か面倒なことをしていないか心配になったので、
オーストリアに相談した。そうしたらあいつはケロリとしてこう言った。
「恋人でも出来たんじゃないですか?この間、女性と2人で歩いているところ見ましたし。」
一瞬耳を疑った。兄さんに恋人!?あの兄さんに!?まさかそんなはずがない。
あんなにうるさくて自分大好き自己中俺様に恋人なんて!
もしかしたら、その人は弱みを握られ脅されているのかも。
はたまた兄さんの自分勝手な妄想で引きずり回されているのかもしれない。
大変だ。助けなければ。俺は急いでイタリアとオーストリアを呼んで緊急会議を開くことにした。
恋愛ならば俺よりもイタリアやオーストリアのほうがわかるだろう。
幸い兄さんは今日も外出している。対策を立てなければ。
「会議なんて。ドイツあなたついにおかしくなったのですか?」
「おかしくなどない!ありえないだろう!兄さんに恋人なんて!きっと脅されてるんだ!」
「・・・このお馬鹿さんが」
「誰だって好きな人ができたら変わるものだよー。」
「イタリア、」
「とにかく見守ってあげればいいじゃない」
イタリアはそう言うと、オーストリアが入れたお茶を飲み、
美味しーなどとぬかしている。オーストリアはオーストリアで、
当たり前ですお馬鹿さん!こっちのお菓子は・・・なんてイタリアに説明を始めた。
なんて能天気な奴らなんだ!こうしてる間にも、
純粋な女性が兄さんの魔の手に捕まっているかもしれないんだぞ!
「・・・わかった。見守ろう。」
「ヴェー!わかってくれたんだねー」
「はぁ。当たり前です」
「行くぞ」
「行くってどこへ〜?」
「兄さんを見守りにだ」
「な、何を言ってるんですか?あなたがそんなお馬鹿さんだとは思いませんでしt」
「いいから行くんだ!さっさとついてこい!!!」
「で、でもドイ」
「イタリアァァァァ!!!!」
「ヒィィィ!!!わかったよぉーすぐ行くからぁ!だからぶたないでー」
「オーストリア、お前もだ」
「なんで私が行かなくてはいけないのですか?馬鹿馬鹿しい!」
「来ないのか?」
「・・・行きましょう。(これは逆らわないほうがよさそうですね)」
俺はイタリアとオーストリアを(半ば強引に)連れて、町へでた。
オーストリアが前兄さんと女性を見たのは町の雑貨屋らしい。なので一直線にそこへ進む。
「あそこの店だな?前兄さんを見たというのは。」
「そうです」
「うわぁ!かわいいお店〜」
「イタリアァ!遊びに来たのではないぞ!」
「わかってるよぉ」
「・・・今日もいますね。」
「何!?本当かオーストリア」
「えぇ。今ふわふわの白髪と黄色い小鳥が見えましたから」
「ねぇやっぱ止めたほうがいいよぉ。見守るって意味違うしさ〜」
俺たちはその店に突入するか、外で待つか、家に帰るかで少々もめたが、
俺が百歩譲って外で見張ることに決定した。その直後、とんでもない事が起きた。
「ありがとうございました。」
「プーありがとう。」
「ケセセセ!いいってことよ!」
なんと兄さんたちが店から出てきてしまった。
すぐに隠れなければと思ったが、あまりの驚きに足が上手く動かない。
イタリアは呆然とし、オーストリアはため息をついている。・・・もう逃げられない。
「あれ?ヴェスト?」
「にににに兄さん!き、奇遇だな!」
さすがに苦しいか。あまりにも状況が悪すぎる。
俺は噛み噛みだし、オーストリアは呆れ返ってるし、イタリアはあわあわしてるし・・・
もし兄さんが本気でぶちキレたら大変なことになる。何もかも破壊し、完全なる地獄絵図が完成するだろう。
「う゛ぇぇぇぇ・・・」
イタリアがついに泣き出した。オーストリアも防御体制になる。
くそ、どうする・・・
「おー!ちょうどよかった!!こいつが俺が話してた自慢の弟だぜ!」
兄さんはいつもの調子で俺の肩を抱いて言った。
隣にいると兄さんが呼んでいた女性が微笑む。
「んで、こっちがお坊ちゃんのオーストリア。こいつがイタリアちゃん。ん?なんで泣いてんだ?」
「え!イタリアちゃんって男だったの!?」
「あれ?俺言ってなかったっけ?」
「言ってないよー!」
ひとしきり雑談したあと、
は(兄さんがそう呼んでいたのでそう呼ぶことにする)俺たちの方を向いた。
「はじめまして!」
にっこり笑ったはとても素敵だった。さっそくイタリアが立ち直り、
うわぁよろしくねぇ〜といつもの調子でハグをする。は少しびっくりしていたが、にこにこと笑っている。
次にオーストリアが兄さんに、いい方じゃありませんか。と声をかける。兄さんはそうだろーと幸せそうに笑った。
兄さんのあんな笑顔を見たのは久しぶりな気がする。
「いつもお話聞いてます。」
が嬉しそうに目を細め俺を見てくる。この顔を見ていたら、
これまでの自分の行動が居たたまれなくなった。だが、大事なことは聞いておかなければ。
もしかしたら兄さんに無理やり付き合わされているのかもしれない。脅されてるのかもしれない。
「ひとつ聞いてもいいか?」
「ん?何?」
「・・・兄さんが何か迷惑をかけていないか?」
は一瞬びっくりした顔をしたが、クスクス笑ってこう答えた。
「迷惑なんてかけてないよ。むしろかけてるのは私のほう。」
「・・・え!?」
「うん。プーの言ってた通りだ。ヴェストくんは心配性なんだね」
まさかの言葉だ。兄さんはこの人に何を吹き込んだのだろう。俺の中に羞恥の心が拭きだす。
「プーはヴェストくんが思ってるほど自分勝手じゃないよ。
とっても頼りになって、優しくて、そんでもってイケメン!」
ま、本人の前では言わないけどね。と付け足し、はいたずらっぽく笑った。
「おい、ヴェスト!今日も一緒に夕飯いいか?」
「えぇ!?ちょ、そんなの悪いよ。」
「かまわないよ兄さん。・・・じゃあ帰るか」
兄さんの頼みを断る理由などなかった。
まだ半信半疑だが、どうやら兄さんは無理やりを恋人にしたわけではないらしい。
手をつなぎ楽しそうに笑う兄さんとを目の前にしてそんな考えは野暮だと思った。
心配性のヴェストくん
(おい!ヴェスト早くしろよ!の手を引きヴェストを呼ぶ華麗な俺様!)
(20091130)
家の外では結構しっかりもののぷーを妄想しました。
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