久しぶりに休暇を貰った。
でも、手持ちぶさたな私は、阿伏兎さんの部屋に来ていた。
休暇を貰っても何をしていいかわからない。
そういうときは決まって阿伏兎さんに構ってもらうようにしている。
おっさん臭いけど、一緒にいると落ち着くから。黙って私の話を聞いてくれるし、
きちんと意見も言ってくれる。阿伏兎さんの部屋はとても居心地の良い場所なのだ。
大きな窓の近くに阿伏兎さんは座っていた。
どうやら宇宙の空を肴に酒を飲んでいるらしい。また物好きな…。
「お邪魔しまーす」
「おー」
「・・・」
「・・・」
無言が辛いわけではない、けど…暇だ!構ってほしい。
「阿伏兎さぁーん、」
「なんだ?」
「平和ですね。」
「・・・はぁ?」
「私、こんなまったりな感じ嫌いです」
「せっかく休み貰ったんだ、有効に使え」
「えー!休むんだったら戦いたいんですよ。任務行ったほうがよっぽど有効だと思いません!?」
「お前みたいなやつ、今時珍しいぞ。俺はずっと休暇でもいい。」
「そうかなぁ」
休みたいわけじゃないから困る。どちらかといえば、もっと任務が欲しい。もっと戦いたい。
私は夜兎族の本能に忠実だ。でもやっぱり定期的に休暇は必要みたいで・・・。
戦いたい、それが私たち夜兎の本能じゃないか。
こんなの暇すぎて逆に死んじゃう。
「なぁ」
「なんですか?」
「お前、星をしっかり見たことあるか?」
「・・・?ない、です。だって興味ないし。」
「だろーな。まだまだお前はガキなんだよ。そういうの見て、綺麗だって思えるやつになれ。
戦うことばっかりじゃ団長みたくなっちまうぞー」
「むしろ団長みたく強くなりたいんですけど」
「言った俺が馬鹿だった。」
ふぅ、とため息をついて、阿伏兎さんは上を見た。宇宙に広がる世界。
もう何年もこの宇宙にいるのに、ちっともしっかり見たことがなかった。
気にしたこともない。だって、戦うことの方が楽しいから。
「阿伏兎さん、お酒ばっか飲んでたら身体に悪いですよ!」
「とか言って、構ってほしいだけだろ」
相変わらず空を見ている阿伏兎さん。
なんか、こんな穏やかな阿伏兎さん気持ち悪い。
「お前もこっち来て見てみろ」
「嫌です。なんか今日の阿伏兎さん穏やか過ぎて気持ち悪いですよ。」
「・・・いいからさっさと来い馬鹿野郎」
「はーい」
私も空を眺めたけど、少しもいいとは思わない。
でも満点の星空はキラキラしていて美味しそうだった。
「うーん、綺麗というか、美味しそうですね」
「・・・お前に憂いを求めた俺が馬鹿だったよ。・・・じゃあ、ちょっと汗かくか?」
立ち上がって伸びをした阿伏兎さんが、ニヤリと笑った。
「え!?手合わせしてくれるんですか!?」
「おぉ。」
「やったぁ!」
任務以外では滅多に拳を振るわない阿伏兎さんが手合わせしてくれるなんて!今日は運がいい。
頼んでもいつもめんどくせぇってあしらわれるからなぁ。
「じゃあまず仰向けになれ」
「はーい」
「隙あり」
「うわっ」
不覚。いくら阿伏兎さんだからといって油断しすぎた。
私は手首をがっちりと掴まれ、押さえつけられてしまった。けど、手が使えないのなら足がある!
「うらぁ!」
「うぐっ」
阿伏兎さんの腹に膝をぶつけた。手が緩んだら速攻で反撃・・・と思ったけど、手はまったく緩まない。
さすが阿伏兎さん・・・あなどれない・・・。
「やっぱりな、足がくると思ったんだ」
「くそー!」
「・・・お前って、本当に戦うことしか頭にないんだな。」
「大きなお世話ですっ!うー!抜けない・・・」
「この状況、なんとも思わないわけだ」
「さっきから何言って・・・っ!!」
阿伏兎さんの言ってる意味がまったくわからず、反撃の方法を考えていた。
そうしたら、顔が近づいてきた。
「あ!…う、ぁ、ふぅ、ふぇ…ちょ、あぶ、と、さ…うううんんー!!!」
唇が重なったと思ったら、阿伏兎さんの舌が無理やり口内に入ってくる。
「う、く、ふあ、ぶ、とさ、はうっ」
阿伏兎さんは角度を何度も変え、くちゅくちゅ、とわざとらしく音を立てる。
酸素がすべて持っていかれて息が持たない。苦しい・・・!
「ふ…!!!っ!ぷはっ!!!!はぁ、はぁ、」
「大丈夫か?顔真っ赤だぞ」
「な、何して、」
「接吻だよ!接吻。お前なんか勘違いしてねぇか?汗かくって、そういう意味だからな。」
にやりと笑った阿伏兎さんは、明らかにしてやったり顔だった。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
「その顔、本当にそそるな。ほらさっさと股開け」
「・・・最低最悪変態野郎!!!!」
秋の夜長と星と酒
(「大丈夫だよ、そんなすぐ突っ込まねーから」)
(「つっ・・・阿伏兎さんの助平!!!!」)
(20100809)
阿伏兎さんは普通に下ネタ言えばいいと思います。
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